ごあいさつ
日本の疲労研究は世界をリードしています。また、「疲労」を癒すために衣食住その他を含めた生活習慣全体を見直すことが重要であることも解ってきています。私たちのグループでは、産官学の連携による【抗疲労プロジェクト】などを通じて、疲労の定量化の実現や抗疲労医薬・食品他の商品/サービスの実用化に取り組んできました。中でも、食品による抗疲労アプローチは、食生活・食習慣を利用した手軽に行える方法と考えられ、疲労そのもの、疲労感、あるいは、その両方に対して効果が確認できる抗疲労成分の研究を精力的に進めてきました。
さらに、2013年12月に”和食”がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本の食への関心は国内に留まらず海外からも高まってきています。日本食はなぜ健康によいのか?、日本食は健康にどのように寄与しているのか?、これらを科学的に答えることは重要な課題といえます。この課題に対して、農林水産省では、農学分野と医学・栄養学分野の研究者、日本文化の研究者、さらには研究者のみならず、調理法や日本食に関する伝承に精通している料理人など多様な領域をまたぐ、異分野融合研究を促進するプロジェクトとして、革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)「医学・栄養学との連携による日本食の評価」という研究戦略を2014年度に策定し、全国規模での研究を開始しました。このような日本食の健康への効果を評価する試みのひとつとして、『日本食によるストレス・脳機能改善効果の解明』を課題とする研究を北海道大学、天使大学と大阪市立大学のグループでは進めており、大阪市立大学健康科学イノベーションセンターとしては、抗疲労素材を多く使った日本食の「抗疲労効果」について介入試験を行い、日本食の一側面の効果として、抗ストレス機能・自律神経機能・睡眠機能をもとに抗疲労機能を立証することに取り組んでいます。
私たちは、これらの研究を通じて明らかになってきた成果などを、解りやすく皆様にもお伝えし、国内外に広く「健康に資する日本食」がアピールできていけばと考えています。
最後になりましたが、抗疲労素材を多く使った日本食の抗疲労効果や抗疲労機能を検証するにあたり、40名の試験参加者に2ヶ月間ご協力をいただきました。
また、抗疲労食材を用いた日本食メニューの考案に関して、大阪北新地の割烹料理店「粋餐 石和川(いわかわ)」店主・浦上浩様に多大なご協力をいただきました。さらに、対比検討するコントロール食メニューの作成と試験食・コントロール食の調理や配達に関して、健康食の宅配サービス企業「ひまわりメニューサービス株式会社」橋本邦彦様、橋本昭人様、齋藤貴子様にご協力いただきました。
ご協力いただいた皆様へ心から感謝の気持ちと御礼を申し上げます。
大阪市立大学健康科学イノベーションセンター センター所長 渡辺 恭良
肉類を使った
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